よねだ保育園サポート
キャリアパス面談を「主観」から「事実」へ。職員の主体的な成長を促す4つの視点
日々の慌ただしさの中で、職員一人ひとりと向き合う「面談」の時間を捻出することは、本当にエネルギーのいることです。多くの園長やリーダーは、職員が抱えている「悩み」や「困り」を丁寧に聴き取ろうと努めています。
しかし、悩みを受け止め、感想を聴き取るだけで、面談が終わってしまっていないでしょうか。 話を聴くことは大切な土台ですが、それだけで終わってしまうと、肝心の「職員自身が自分の行動や工夫を確かめる」という、成長の糧まで辿り着けません。
そうして職員の行動や工夫を一つひとつ丁寧に確かめていくことで、面談に対する意識や取り組み方が、職員の主体的なものに変わっていくのではないでしょうか。
悩みや所感を聴き取ったその先に、プロとしての誇りを持って自らの歩みを確かめる場をどう作るか。イメージに頼らない、事実に基づいた面談のための視点を整理します。
1. 面談の根底:「育てられる」ではなく「育つ」というパラダイムシフト
面談は、当然ながら「確認・相談・助言・指導」を行う大切な場です。 しかし、そのすべての根底にあるべきは、職員自身が主体となって、自らの成長や日々のチャレンジ、工夫を確かめることだと考えます。
上司から与えられる評価を待つ「受け身」の姿勢ではなく、職員が自ら「今、ここに向き合っている」「昨日はこんな工夫をした」という事実をテーブルに乗せる。 「育てられる」のを待つのではなく、自ら「育つ」という意識の転換。
その職員自身の自覚と振り返りがあって初めて、上司からの確認や相談、助言や指導が、生きた言葉として機能し始めます。
2. 目標と確認:専門性を「具体的な動き」で裏付ける
個人の目標になりがちな「子どもの育ちに寄り添う」や「発達の理解を深める」、「保護者との対話力・対応力の向上」などは、いずれも状態を示すものが多く、職員の尊い思いや願いの塊です。しかし、振り返りの場で「なんとなくの雰囲気」や「意欲」といったフワフワした言葉で語っていては、日々の行動に繋がるような実のある面談にはなりません。
すべての子どもには発達課題があり、主体性の伸長が必要です。そこにどうプロとしてアプローチしたか。たとえ目標が定性的であり、具体的に振り返りにくいものでっても、歩みを確かめる時は、アクションを具体的・定量的に確かめることが重要です。
3. 努力の可視化:活動の歩みを確認し、次のちょっとした目標を記録する
「頑張っている」「手応えを感じている」という主観的なイメージを単なる印象で終わらせず、職員自身の創意工夫を「見える化」した資料を持ち寄り、その履歴を互いに確認しながら面談を行いましょう。 目の前に具体的な歩みの跡を広げることで、自分の動きを整理して伝えられるようなり、プロとしての自信に繋がります。
さらに効果的なのは、面談の記録に次回面談までのちょっとした目標を記しておくことです。 大きな課題を掲げるのではなく、「これならできそう」と思える具体的な一歩を合意し、記録に残す。その小さな積み重ねの履歴が、主観を事実で裏付ける何よりの材料になります。
【面談に持ち寄る履歴の例】
・環境構成の変遷: 玩具の配置を変えた写真や図面、その後の効果のメモ
・対話の記録: 同僚との話し合いのメモ、提案したこと
・自己研鑽の軌跡: 参考にした書籍や参加した研修の記録
こうした「履歴」はアナログでもデジタルでもいいでしょう。無理なく運用することが肝心です。これをもとに、「次への一歩」について話し合うことで、面談が、悩みや所感を聴き取る場から、「主観的なイメージを事実で裏付けした、専門的な対話の場」へと変わります。
4. 運用のコツ:回数・育成面談と「意向調査」を混ぜない誠実さ
面談の質を保つためには、実務的な回数や順番も重要です。 年度の途中で、確認することは重要です。面談の目的を、職員主体の「育ち」とするなら、歩みを確かめ、事実を共有するることで、意欲の向上を促すことが大切で、それこそがリーダーとしての役割だでしょう。面談の回数は、年度当初、中盤、年度末の年 3 回が理想ですが、難しい場合は振り返りと次年度の目標を合わせて年 2 回でもいいかもしれません。
また、秋の終わりから冬の時期にかけて行われる「来年度の意向調査(契約や配置の話)」と、この「育成面談」を混ぜないことも非常に重要です。 雇用条件や配置の相談は、面談の目的が異なります。もしも一緒に行うとしても、まずは歩みを振り返る。その区切りをつけてから、改めて「では来年はどうするか」と聞く。この誠実な順番が、職員の納得感と安心感を生みます。
結び:「事実」が自律の原動力になる
事実に基づき、自らの歩みを確かめ、ちょっとした目標を設定し、具体的なアクションにつなげる。その小さな自覚や自信と実践の積み重ねこそが、キャリアパスという仕組みを動かす原動力になります。
一人ひとりの「育つ力」を信じ、それを事実で裏付けていく。 そんな面談の積み重ねが、園全体の専門性を引き上げる出発点になるのではないでしょうか。