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  • 執筆者の写真米田太郎

第三者評価は監査じゃない

今日は、東京都福祉サービス第三者評価についての話 お話の流れはこんな感じでしょうか。


●福祉サービス第三者評価とは

●訪問調査と報告書と僕

●第三者評価は監査じゃない

●保育園が目指す姿を確かめることが大切

●積極的に活用して欲しい




●福祉サービス第三者評価とは



東京都福祉サービス第三者評価とは、

『とうきょう福祉ナビゲーション』では、

”第三者評価とは、第三者の目から見た評価結果を幅広く利用者や事業者に公表することにより、利用者に対する情報提供を行うとともに、サービスの質の向上に向けた事業者の取り組みを促すことで、利用者本位の福祉の実現を目指すものです。” となっています。





●訪問調査と報告書と僕


僕は評価者として、「第三者の目から見た評価結果」に携わっています。評価者は、実際に保育園に訪問し、サービスの内容を、現場観察・インタビュー・書類などで確認します。これが訪問調査です。訪問調査後、評価者チームで合議を行い、利用者調査の結果や保育園側から提出される自己評価などを総合して、報告書を作ります。この報告書の公開を事業者と合意して、インターネット上に公開されるということになります。





●第三者評価は監査じゃない


最低基準を確認する監査員とは違い、第三者評価の評価者は、利用者本位の福祉サービスを目指すために、次の視点から、組織とサービスの状況を確認します。


・「利用者のサービス選択」及び「事業の透明性の確保」のための情報提供

・事業者の皆さんのサービスの質の向上に向けた取り組みの支援


東京都の福祉サービス第三者評価では、報告書の中に、全体講評として、「特に良いと思う点」を3つ、「さらなる改善が望まれる点」を3つ、挙げることとなっています。


これが難しい。「特に良いと思う点」は、評価者が単に「良い」と思ったこと書けばいいわけではないですし、「さらなる改善が望まれる点」は、例えば「書類に確認印が押されていない」や「職員の所作があらい」など、必要最低限のものやことが不足していることを挙げるだけのものではありません。


それは、第三者の「評価」ではなく、第三者の「感想」や「欠点の指摘」です。特に、相手方の「改善が望まれる点」を見つけなければならないとなると、評価者も欠点探しをしたくなりますし、そうした欠点探しによって、評価者が考え出した、「改善が望まれる点」は、園側に単なる「ダメ出し」を伝えるだけのものになってしまいます。


誤解があってはいけないので書きますが、法令は遵守する必要がありますので、欠点の指摘は気付いたらしなければいけません。それは仕方がありません。透明性の確保も第三者評価の目的に入っています。ただ、第三者評価が監査と異なる点は、その先にあります。


第三者評価は、表層的な良し悪しだけを判断するものではありません。目指している姿に向けて、効果を発揮していること、これが「良い点」であり、目指している姿に向けて必要と思われること、これが「さらなる改善が望まれる点」になるわけです。


仮にもし、「書類に確認印が押されていない」ことを「さらなる改善が望まれる点」として扱うのであれば、

確認印が押されていないことのみを指摘するのではなく、押印がないことで目指す姿が遠のいており、押されることによって、目指す姿に近づけるのではないか、ということに焦点を当てて考え、「さらなる改善が望まれる点」としななくてはなりません。ただ「ない」という指摘は、監査の指摘方法です。





●保育園が目指す姿を確かめることが大切


第三者評価が、保育園がサービスの質の向上に向けた支援となるためには、評価者が、保育園の現状を、保育園が目指している姿に照らして考えなくてはなりませんから、評価者は、保育園が目指す姿をしっかりと把握しなければなりません。把握のためのヒントは、職員会議録や記録類などの中にある職員間で何気なく使われている言葉や、環境の作り方、行事の進め方などさまざまなところに現れています。


例えば、「読み聞かせ」か「読み語り」か、「慣らし保育」か「慣れ保育」か、「子どもに教える」か「子どもに伝える」か。みなさんはどう感じるでしょうか。どちらを使っても、大差ないと感じる方もいるかもしれません。ただ、この違いに意味を見出している保育園もあります。言葉の使い方に、その園の思い・伝統・文化・保育観・子ども観の一端が見られることもあるのです。


また、保育園が目指す姿をしっかりと把握しなければならないということは、評価者だけではなく、保育園側にも言えることで、評価者に自分たちが目指す姿を伝えるためには、自組織の強みや弱み、文化風土などを再確認・再自覚する必要があります。第三者評価受審は自分たちを振り返る最高の機会なんです。





●積極的に活用して欲しい


第三者評価は、保育園が第三者との対話の中で、利用者本位のサービスの向上や事業者の目指す姿に向かうためのヒントを見つけ出す営みです。もっともっと肯定的に、主体的・積極的に第三者評価を活用して欲しいと思っています。


いかがだったでしょうか。福祉サービス第三者評価のねらい おわかりいただけたでしょうか。 また次の報告書を手掛けるといたしましょう。

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